補助金で夢を叶えよう!(認定経営革新等支援機関)
ものづくり補助金。事業再構築補助金。小規模事業者持続化補助金。名前は聞いたことがあるけど、自分ももらえるのかな?もらえたら嬉しいな!直接利用を検討したことのない経営者の方の感覚は、そんな感じでしょうか。今日は、補助金ってどんなもの?というお話をしたいと思います。
コロナ関連で経営者の方は色々お金をもらったと思います。これらは、コロナの非常事態の中で「まず交付ありき」で行ったものなので、申請はとても簡単でした。中には書類を改ざんして不正受給する人がいたり、受給資格はあっても、とても支援金が必要とは思えない事業者に大金が支払われたりして、納税者としてはモヤモヤする制度でしたね。コロナ関連の給付は一段落したようですが、どちらにしても、こういったバラマキは例外だと思ってくださいね。
さて、国や地方公共団体からお金がもらえる、といっても補助金と助成金と2種類ありますね。助成金というのは、要件に当てはまれば全員もらえるよ、というもの。なので、コロナ関係の給付は、こちらに近いと思います。先着順で受け付けて、予算がなくなり次第終了です。よくスーパーなんかで「先着何名様限り」と記念品を配ったりする、あんな感じですね。
対して、今日お話しする補助金というのは、受験に近いイメージです。希望者が多数の場合は、上位から順番に交付します。だから、自分は要件に合致してもらえると思っても、希望者が多くて他の人の申請書類の方が評価が高ければ、不合格になるということです。え、受験みたいにみんな同じ問題解くわけじゃないのに、どうやって点数つけるの?と思われるかもしれません。この辺りは各補助金ごとに、何が必要で評価されるか、というのが大体決まっていますので、ポイントを押さえた申請書を作ることが大切になってきます。
その書類の作成が結構大変です。なにしろ何百万円という税金を、その申請書を見て個々の事業者に交付する訳ですからね。申請する側からみれば大変面倒くさいのですが、視点を変えて納税者の立場で考えれば、自分が払った税金を誰かが私的に行っている事業のためにあげてしまうのですから、きちんと審査してもらいたいですよね。
その審査書類の作成をお手伝いするのが認定経営革新等支援機関です。登録している多くは税理士ですね。ただ、補助金という視点でみると、一番利用されているのは商工会議所です。なので、商工会議所の会員になられている方は、まずそちらにご相談にいかれるといいと思います。(一部、商工会議所の支援が前提となっている書類については、会員でなくても対応してもらえます)
実際、私の知っている木更津市の社長さんでも、商工会議所の支援を受けてたくさんの補助金を利用している方がいらっしゃいます。その方はパソコンで資料をまとめたりするのが得意なので、商工会議所のアドバイスを受けながらご自分で作成されています。ただ、中にはパソコンや文書作成が苦手な方もいらっしゃいますよね。そういう方は、別途費用はかかりますが、税理士等の認定経営革新等支援機関に作成を依頼されるとよいでしょう。
それでは、一体申請書類とはどんなものなんでしょう。もちろん、事業内容や今までの業績などたくさんの書類が必要になるのですが、一番大事なのは下記のアピールになります。
「その補助金をもらったら、こういった内容の投資をします。それにより、事業が軌道にのればこれだけの利益が見込めて、従業員の雇用創出や、税収増加に貢献できます。」 国等が民間の事業者に投資するわけですから、投資にふさわしい事業だとアピールして、納得してもらう必要があるわけです。
実際には、これから購入する予定の設備、支出するはずの経費など、具体的な記載をします。そして、事業内容の説明やスケジュール、利益の見込みの数字など、写真やグラフも多用して申請書を作成します。その際、注意してほしいのはかっこいい書類を作らないことですね。審査員はあなたの事業について知りませんし、短時間に多くの書類を審査します。専門用語を使ったりして、わかりにくい書類は、評価されにくいです。ですから、中学生が読んでも、何がやりたいか伝わるくらいがちょうどいいと思います。
アイデアもやる気もあるけどお金がない、もしくは投資額が大きくてちょっと勇気がでない、そんな方は是非補助金の活用を検討されてくださいね。逆に、補助金もらえるなら何か買おうかな~くらいの気持ちの方は、もっと計画を練った方がいいと思います。補助金は国等の政策に合致する必要があるので、「国がやってほしいことをやる」ことも重要です。対象になる経費等も決まっているので、ご自分の計画が補助金の対象になるか、まずは調べてみることをお勧めします。
実は私も9月に、補助金の対象となる設備投資をしました。けれども結果として補助金の申請はせず、自腹で投資しました。補助金でネックになるのは、申請書類が複雑とかそんなことよりも、一番はこれだと思います。
補助金がもらえると決まるまで、支出ができない。
設備が買えないどころか、注文もしてはいけないのです。私の場合、9月に検討して自腹なら1週間で導入できる設備が、補助金を利用するとおそらく早くても2月になってしまうというスケジュールでした。2月というと確定申告の真っ只中で、設備を入れる時間はとれないので、結果半年以上の遅延になります。それでは、タイミングを逃してしまうと思い、自腹で投資しました。
工場を作りたいとか、新規事業を始めたいような方は、どちらにしても時間がかかるので問題にならないかもしれません。ただ、小規模事業者の投資は、タイミングも大切です。補助金の利用をしたいために、せっかくのチャンスを逃してしまっては本末転倒になります。ですのでやはり補助金は、自腹ではちょっとやりにくい位の場合に検討した方がいいのかもしれません。(補助金を利用する場合も、購入してから補助金が支給になりますので、あらかじめ借入等の対応が必要です)
国の税金を自分の事業のために使える補助金は、大変魅力的な制度です。きちんとした計画や準備が必要ですが、自分の力だけではできない事業への挑戦や、飛躍の後押しをしてくれる、有意義な制度だと思います。みなさま是非、チャレンジしてみてくださいね。
(補足)
認定経営革新等支援機関は税理士ならほぼ誰でも登録できる制度です。けれども、補助金の申請は税理士の本来業務とは全く違う知識が必要になりますので、実際に対応できる機関は限られています。顧問税理士が必ず対応できるとも限りません。各支援機関の支援実績等は公開されておりますので、実績のある機関を選ぶか、ホームページ等で補助金支援の記載のある機関をまずは検討されたらよろしいかと思います。
また、今後注目を集めそうなIT補助金は、IT導入支援事業者が決まっており、認定経営革新等支援機関とは異なりますので、ご注意くださいませ。