改正電子帳簿保存法への対応(会計freee編)
改正電子帳簿保存法への、freeeの対応が発表されました。全プランで追加料金なく対応し、ユーザーが特に法律を理解・意識しなくても、自然と要件を満たせる設計を予定しているそうです。別途料金がかかったり、未対応の会計ソフトもあるので、月額2千円程度で利用できるfreeeは、ますますお勧めですね。
さて、そもそも改正電子帳簿保存法って何?という方もいらっしゃるでしょう。経理の世界では、紙による保存が原則です。したがって、何年も事業をやっていると、次第に紙だらけになってしまい、いったいいつまで保存すればいいの?と置き場所に困りますね(ちなみに税法では7年保存です)。そこで、経理もペーパーレスにしよう!というのが電子帳簿保存法。要件を満たす電子データを保存すれば、紙の資料は捨てていいよ♪というもの。
だったらなんで、うちの税理士さんは捨てていいって言ってくれないの?と思われる方もいらっしゃるでしょう。実はこれ、めちゃくちゃ面倒くさいんです。何しろ紙を捨てていいとなると、絶対悪いことしようとする人がいるじゃないですか。そうならないために、署名しろのタイムスタンプ押せのダブルチェックしろの、まあとにかく要件が厳しい。結果、ほとんど誰も利用しなかったわけです。
これじゃ時代の波に遅れるよね、ということで令和4年1月1日から、大幅に要件が緩和されます。これが改正電子帳簿保存法。実際、これならやってみたいな!という内容になっていますよ。今回はfreeeの利用を前提に、具体的にご説明しましょう。
経理の大体の流れは、こんな感じだと思います。
①取引(売ったり買ったり)をする。
②請求書や領収書のやり取りをする。
③会計ソフトにに入力するなど、帳簿を作成する。
この流れに沿って、ご説明します。電子帳簿保存法の内容は、大きく分けて3つあります。
(1)電子帳簿等保存
これは、以前から結構利用されていると思います。上の経理の流れでいうと③の部分。パソコンで仕訳を入力したり、会計事務所が作成してくれた帳簿書類を、電子データで保存していいよ、というもの。会計事務所からもらう「総勘定元帳」という分厚い冊子が、CD-ROMに変わった、という人もいるでしょう。その部分ですね。大きく変わったのは、今まで面倒くさい事前申請が必要だったのが、いらなくなったこと。これからは、データをCD-ROMでくれる事務所が増えると思いますよ。
(2)スキャナ保存
皆さんに一番イメージしやすいのが、これですね。②の領収書や請求書を捨てていいよ、というもの。freeeを使えば面倒なタイムスタンプもいりません。freeeのソフトにスキャナで読み込むか、スマホで写真をとれば終了です。ただ、約2か月以内にデータ化しなければならないというルールがあるので、決算時に税理士にまとめて送ります、という方は使えません。その場合は、ひとまずスマホで写真だけはとっておけばOKですね。
(3)電子取引データ保存
こちらは、令和4年1月1日から義務化されていたものを、2022年税制改正大綱で2年の猶予を求めることになりました。ということで、少し対応に時間がありますが、「義務化」というところが、前の2つと決定的に違うところです。
例えばAmazonで買い物をすると、領収書はパソコンから印刷しますよね。ところがそれが、電子データで受け取ったものは電子データで「きちんと」保存しなさい、という風に変わります。印刷じゃダメになるんです。この「きちんと」がまた結構やっかいですね。
そこでfreeeの場合、通帳やクレジットカード、Amazonやアスクルの支払いをデータで取り込みます。この受信するデータが既に改ざんのできない形式に対応しているので、ユーザーは取り込むだけで要件を満たしてくれるそうです。私も今年独立した際、ほとんどの備品をAmazonとアスクルで購入したので経理が面倒だと途方にくれていたんですが、読み込みの設定をしたおかげで一瞬で解決。今後は領収書を印刷する手間も省けますね。
今まで、メールに添付して送ってもらっている書類も、freeeのファイルボックスというところに読み込む形にすれば、電子保存として認められます。会計事務所に資料を届ける手間もありません。読み込んだ書類から仕訳を起こせるので、その場合は仕訳とデータがセットで表示されますから、対応する領収書を探す手間も省けます。いいことずくめですね。
もちろん、仮想隠蔽(悪いこと)をすれば、罰金が高くなるというペナルティもあります。優遇よりもペナルティの方が重いので、ズルいことは考えず、きちんと対応するよう心がけましょう。
ところで、freeeを利用すれば、会計の知識のない方でも個人の確定申告書は作ることができます。ただ、私が実際にfreeeでデータを読み込んだり、お客様が入力したデータをチェックして感じたことですが、やはり正しくfreeeに読み込みの指示をしないと、正しい帳簿は作れないということです。法人の申告書は作れませんし、個人でも消費税が課税になったタイミングあたりで、自己作成は限界がくると思います。そこで、税理士を選ぶ際には、是非freeeの認定アドバイザーを選んでほしいと思います。
なぜなら、従来の会計ソフトが会計事務所用に作られているのに対し、freeeはユーザーのために設計されているからです。freeeを使ったことのない税理士にはとても使いにくいので、せっかくのfreeeの特性を活かせないと思います。また、一部の会計事務所では、仕訳の数で顧問料の見積もりをするようです。freeeは他の会計ソフトより仕訳数が多くなるので、結果、顧問料が割高になると思います。
(例えばETCを月50回使う事業所の場合、手入力であれば「〇月分 ETC」で仕訳数は1。それに対してfreeeでは、ひとつひとつの取引を読み込むため、50となります。)
これから改正電子帳簿保存法に加え、令和5年10月にはインボイス制度も始まります。すべて税理士任せで領収書を渡して安心・・・という時代は過ぎたと思います。これからは税理士事務所と連携しながら、ラクにきちんと経理する時代になるでしょう。
「freee」というソフトの名前は、経理の業務負担からフリーにする、という意味でつけられたそうです。面倒な改正電子帳簿保存法も、freeeを使って、ストレスフリーに対応しましょう!