脱税指南税理士にご用心!(税理士法)
木更津税務署のお隣、市原税務署管内で、悪質な脱税事件がありました。
市原市の経営コンサルティング会社、「トーマスコンサルティング」と顧問先の約50社が東京国税局の税務調査を受け、2020年までの7年間に計約20億円の所得隠しを指摘されたそうです。重加算税を含めた追徴税額は5億円にのぼるとのこと。9月の日付でニュースになったので、ご存知な方もいらっしゃると思います。
手法は簡単なもので、架空の外注費を計上して、所得を圧縮するというもの。税理士でなくても、「架空の外注費を計上したら、税金が安くなりますよ!」って言われたら、それ脱税じゃない?おかしいな?と気づくと思います。ただ、今回申告に携わっていた「トーマス税理士法人」の税理士は、3名とも国税OB。しかも、1人は元税務署長だといいます。「おかしいと思うけど、国税で税務調査をしていた人達がいいっていうんだったら、いいのかな?」と話に乗ってしまう納税者がいたとしてもおかしくありません。
問題が発覚した後、トーマスコンサルティングの代表は死亡、脱税にかかわった3人の税理士は自主廃業しました。驚いたのは、現在の税理士法では、処分の対象が税理士に限定されるため、自主廃業した3人はお咎めなしだということです。宅建業法では、不正を働いた宅建業者や宅地建物取引士が問題発覚後に廃業しても、5年間の業務停止の罰則があります。対して税理士法がこんなザル法だったとは。私も初めて知りました。
結局主犯の4人は責任を追及されないまま、お客様だけが税務調査を受けてペナルティーを課されている状態です。お客様も、脱税したのだから追徴税額をとられるのは仕方がないにしても、なんで自分たちだけ・・・と納得がいかない方も多いと思います。
そして、その税務調査を担当しているのは、税務職員です。彼らも、自分たちの元上司や同僚がやった不正を棚に上げて、納税者だけを責めるのは、とてもやりにくいことでしょう。税理士や税務職員の名誉のためにも、早く税理士法を改正してほしいと思います。
そして、こんなことは言いたくはありませんが、納税者の方も、税理士だからと端から信用するのではなく、きちんと信頼できる税理士かどうか、ご自分で判断された方がいいと思います。以下は、税理士に限りませんが、相手を信用できるかどうか、判断する際の参考にしていただければと思います。
こんな人は信用できない!判断法
1)交通ルールを守らない
・信号無視や駐車違反、スピード違反で罰金ばかり払っている
・ハンズフリーにせず、運転中に携帯を操作している
2)約束を守らない
・ダブルブッキングや、約束を忘れて外出する、などがよくある
・遅刻するのに、連絡をしない
3)言行不一致
・平気で嘘をつく
・言っていることとやっていることが真逆
(多少の言行不一致は誰にでもありますが、あまりにも違う場合は行動で判断した方がいいでしょう)
トーマスコンサルティング・トーマス税理士法人の顧問先だった方は今、何もしなかった時よりも、何倍もの税金を負担させられているとお察しします。この方々が、今度こそ信頼できる、きちんと会社を守ってくれる税理士さんに出会われることを願ってやみません。
※2021年12月12日 追記
2022年税制改正大綱に、廃業した税理士も罰せられる改正案が盛り込まれました。