その節税、本当にトクしてますか?(法人税編)
「とにかく税金を安くしてください!」と相談される方は多いです。もちろん税理士なので、そういったご相談は歓迎します。
特に法人で利益がでると、色々な人にいわゆる「節税商品」を勧められたりますね。事業とは直接関係ないけれど、税金が安くなってお得ですよ、と。税金を払うくらいなら・・・と買ってしまう社長さんもいらっしゃいます。この節税商品、本当にお得なんでしょうか。
今日は法人に利益がでた時にかかる、法人税のお話です。法人税は、長い間事業をやってこられた方ほど、高いというイメージを持たれているようです。確かに昭和の時代は、法人税率は40%を超えていました。けれども今は、法人税率が高いと、企業が海外に流出して却って税収があがらなくなるため、23.2%まで下がっています。さらに中小企業については、利益800万までなら15%です。逆に、個人の所得税の方が税率があがり、加えて社会保険の強制加入や料率の上昇を受け、負担感が増しました。
法人税は利益にかかる税金なので、利益が0だったり赤字だったりしたら、税金は基本的に0です。(正確には、法人県民税と市民税の均等割(最低70,000円)の支払いはあります。)事業年度の初めは利益をだそうと頑張っていても、決算が近づくと、このままでは税金を支払うことになると、慌てて無駄遣いをしてしまったりします。
例えば中小企業で100万円の利益がでたとき、利益にかかる法人税その他の税率は25%くらいです。25万円の税金を払いますが、75万円は手元に残ります。ここで、税金を0にしようとすると、100万円を全て使い切らなければならなくなり、残るお金は0。つまり、法人税を払わない事業者は、毎年振り出しに戻って、会社にお金が残らないのです。
借入金があって返済をしている場合を考えてみましょう。返済は、借りたものを返すだけなので、損も得もしません。つまり、返済は経費にならないのです。(経費になるのは利息部分だけです)となると、返済は税金を支払った後に残った利益からしなければなりません。ここで利益が0だとしたら、貯金が減るか、どこかから返済のための借入をするか、何かの支払いが滞るか・・・。どちらにしても、非常に後ろ向きな経営になります。
もちろん、無駄な税金は払いたくないですから、必要なものがあったら期末までに購入したほうがいいでしょう。会社のためになる節税については、私も張り切ってアドバイスをします(笑)。しかし、事業に直接必要のない、いわゆる節税目的の商品を検討するときは、是非次のことをチェックしてください。
①会社の黒字は、今期だけでなく、翌期以降もずっとつづくこと
(節税商品の多くは、翌期以降も支払いが続くため、赤字になったら節税にならないだけでなく、最悪支払いができずに悪い条件で解約をして損をすることもあります)
②節税商品に支払う余剰資金があること
(運転資金を使ってしまったら、資金繰りに影響します)
節税の目的は、余分な税金を払わず、企業にお金を残すことです。節税商品を検討するときは、目先の税金だけでなく経営全体を考えて、本当に得になる使い方をしましょう。税理士と決算の打ち合わせをする時に、しっかりとしたアドバイスをもらえば安心ですね。
せっかくあなたが頑張って稼いだお金です。きちんと会社に残して、最後に引退するときは、しっかり退職金をもらいましょう。